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引き裂かれた鋼鉄

物語

ウイグル獄長の蒙古覇極道を受け止めたまま両者とも一歩も引かない膠着状態になっていたが、ケンシロウの気迫が次第に覚醒し、支えた指に渾身の力が入る。「何ぃ!」鋼鉄のウイグルの肩もわずかに肉の弾力を見せたと思った瞬間、ケンシロウの指が一気に食い込み、すべての筋を引き裂いてしまった。

補完理由

この絵の元絵。前の蒙古覇極道シーンで見せた画力もここまでか、激痛に身をよじらせるシーンのところ、片足を挙げている?指が変なところに1本ある?顔に至ってはこの人を彷彿とさせる。かく言う私も実はこの補完には、かなり時間をとられた。というのは肩の肉を握りつぶされる激痛には、体が無意識にかなり大きな防衛反射をとるハズで、右肩をすくめ頭は痛みの方へ傾く、体全体が右肩をかばおうと大きく右に傾く、そして加害者である敵に傷を隠すとこが想像できる。しかし描いてみると激痛の反射というよりナヨナヨになりすぎてしまう。何回も大きく描き直したが、結局あまり防衛反射を描かない方向にした。その点、原作の原哲夫の描写はアングルは違うが、さりげなく両立をやってのけている。画力の至らなさが身にしみる。

力と力のせめぎ合いの末、ウイグルの鋼鉄の肩を握りつぶす一連のシーンを映像で初めて見たときは、なかなか迫力を感じた。しかし流れで見ていたときには苦にならない絵も、2回目以降見るには耐えられない。まず、この目。蒙古覇極道を受け止められ、そのまま力任せに押し切ろうとパワー全開になるシーンなのに、目が泣いている、目で負けている。肩を握りつぶされ激痛に絶叫するシーンは、木彫りの民芸品のような顔だ。一瞬のシーンだがあと一歩踏み込んでほしい。

北斗鋼裂把

今までケンシロウは、(体力的に)苦もなくクールに北斗神拳を使いこなしてきた印象があるが、ここではじめて本気(目の色が変わる)で闘うことになった。 体当たりというシンプルな技でここまで闘いを盛り上げた蒙古覇極道だが、北斗の拳には珍しくフィジカルな力と力の衝突が、文字どおり巨大な敵(これから始まる拳王軍)との激突を象徴する闘いなった。 作画のクズレはともかく、テレビ版においても力の競り合いに長い尺をとっている。 

ケンシロウが北斗の拳で一番長い雄叫びを発し、次第にフルパワーに覚醒し、その最高潮において敵の最大の武器である強靱な肉体を直接握りつぶすという破壊衝動の昇華は、他の敵キャラでは見られないクライマックスだ。

 

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