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挑戦者、来たる

物語

久しぶりに手応えのありそうな挑戦者に闘志をかき立てられたウイグル獄長。自らカサンドラに踏み入ったケンシロウに「無謀なる勇気だけはほめてやろう」「希望は絶望へ変わるのだ」と不落のカサンドラ伝説の余裕を見せる。しかし、ケンシロウを包んだただならぬ空気を察知した部下は、挑戦者の勝利に賭けてしまう。尊大なウイグルの自信とは裏腹に、カサンドラ伝説に影が落ち始める。

 

補完理由

このシーンの元絵 引きの絵なのでディテールまで描き込みがない。前者は魚眼レンズのような効果をねらってるが、それにしてもウイグルの足はおかしなひずみ方だ。 ほとんど同じ構図の絵が原作では見開きページで描かれているのでかなり緻密さと迫力がある。

 

カサンドラ監獄の存在理由とは

ウイグルが倒された後、部下達がカタキを討とうとするが、ケンシロウの一喝で目覚め、拳王の手先であることを放棄することから、拳王に対する忠誠よりウイグルに対するそれの方が強かったのではないか・・・・・ひいては、ウイグルが拳王の部下となる以前からカサンドラ監獄は存在しウイグルも獄長の任につき、部下を手なずけていたのではないか・・・・・という説もあるがこれはちょっと腑に落ちない。

もし忠誠を誓うならケンシロウの勝利に晩飯を賭けるふとどきなことはしないし、カサンドラが陥落して喜んだりはしないはずである。ウイグルの強大さは部下達の恐れるところでもあり、看守と囚人の立場は違うにしろ支配されていたことに代わりはないだろう。 カサンドラは初めから監獄として建設された訳でなく、また以前から獄長としてカサンドラにいたなら、拳王の軍門に下る前に拳王とも闘ったはずである。そのとき負けて拳王にかしづき、拳王の為に働いているなら、自らを不落のカサンドラ伝説とは言わないであろう。

ウイグルにカサンドラ獄長の任を命じたのは拳王である。はじめからウイグルのために用意されたモノではない。では拳王は何を考えカサンドラを監獄としたか。鬼と呼ばれた凶悪犯、拳王に抗う武闘家たち、これは生かしておいても拳王にとって何の利もない。この時代の食糧事情を考えれば端から殺してしまった方が楽なのである。トキの話によれば、かつてカサンドラでは拳王が捕らえた数々の武闘家と闘う中で彼らの極意を奪った。そのために人質をとっておく必要があったことは確かだ。しかしそれだけでは人質以外のならず者を生かしておく必要がない。

そこで目先を変え劇場版北斗の拳を見てみよう。世紀末の覇者たらんとする拳王は、拳王軍を組織し進軍させる。そこでウイグルは武将として拳王の横に立ち、なんと拳王軍の総指揮をしている。拳王軍の士気を鼓舞するために鞭を入れ、軍が牙大王に苦戦すれば自ら拳王の盾となって闘おうとする。つまり、ウイグルと拳王軍は密接な関わりがあり、拳王もこれを必要としていた。さらにカサンドラの獄長であることと関連させて考えれば、カサンドラに集められた凶悪犯や武闘家たちは、鬼監督ウイグルによって拳王への忠誠をたたき込まれ、戦闘集団として統率され拳王軍として仕立てられていった。その証拠に、劇場版の牙一族に対し拳王は「このもの達は時代の役にはたたぬ。抹殺しろ。」とウイグルに命令を下している。つまり拳王軍の組成目的と、その錬成にウイグルが深く関わっていることを示している。

二度と出れないとは、自由を捨て命を捨てて拳王軍になるか、獄死するかを意味する。それがウイグルとカサンドラ監獄に与えられた役目ではないだろうか。

 

−追記−(2007.1/12)

長田悠幸の「ラオウ外伝 天の覇王」で、ラオウに見いだされたウイグルが、カサンドラで獄長になるエピソードが登場。予想通りはじめからカサンドラ獄長をつとめていたわけではなかった。

 

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