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墓穴に墜つ

物語

トドメの一発で宙に舞ったウイグル獄長は、轟音とともに地に落ちた。それはちょうどケンシロウのために用意した墓穴の上だった。しかしウイグルの巨体は、やはりケンシロウ用のサイズにおさまりきらない。もだえ苦しむウイグルにケンシロウは言いわたす「墓穴が狭すぎたようだな、だがじきにちょうど良くなる。安心して、死ね。」

 

補完理由

この補完絵の元絵。これは体の構造がどうなっているのだろうか。北斗神拳にやられたとはいえ、これはそれ以前の問題だ。そのころカナメプロが、いかに人材不足だったかをうかがわせる。

 

墓穴のサイズ

挑戦者を葬るため用意した墓穴に沈められたウイグル獄長。墓穴がケンシロウのサイズで狭すぎたため、巨体を潰され墓穴に押し込まれるという凄惨な最期をむかえる訳だが、ここで問題にされるのは墓穴のサイズ。

まずは最初にケンシロウに見せつけた時の墓穴 普通の体格の人が仰向けに埋葬されそうだ。 次にウイグルが殴り倒された時点での墓穴 ウイグルの体格から比較しても最初より少し小さくなっている。 次に体を潰された時の墓穴の大きさ 極端に墓穴が狭まっている。 これだとケンシロウでさえ小さく折りたたまなければ入らないだろう。 そして注目すべきは、死んだと思ったウイグルが執念で息を吹き返し、再び墓穴に沈むこのシーンでの大きさ なんと獄長用のサイズに大幅拡張している、というかほとんどプール。 これは制作サイドの都合やミスとも言えなくないが、ここまで極端ではないにしろ原作でも墓穴のサイズが体を潰されるところだけ極端に小さくなって、再び墓穴に倒れるところで元に戻っている。 これは一体どういうことだろうか

一言で言うなら、これは[演出]として必要だったからだ。 最初から巨体は潰されるべくして潰され、墓穴はそのために用意されたものと言うことだ。  まず演出として潰されるウイグルの巨体に何を担わせたのか考えよう。 先にも述べたように物語上でのウイグルの存在意義はトキを得る前に立ちはだかる大きな障害だ。 もちろん死封の監獄カサンドラで鬼達をも手玉に取る獄長としての圧倒的な存在感も必要である。 そしてカサンドラの番人とはいえ直接拳王の息のかかった初めての敵でもあり、今までのパンク系とは異なる強大な拳王軍の期待感を担っている。 だからこそウイグルには神話の軍神のような風貌と強靱な肉体が与えられ、その[大きさ]を文字通り巨体として担わせた。 だからそれを強調するような体を張った肉弾戦をいどませているし、いつもクールだったケンシロウも物語上はじめて本気で闘うことになったのである。 

その本気さは、ケンシロウが物語の展開を切り開いていくために、大きな[障害]を崩さねばこの先待ち受ける拳王軍との対決が開けていかないことを意味する。 つまり拳王の強大な影に立ち向かい、恐怖で閉ざされた門をこじ開ける決意をここで見せる必要がある。 カサンドラがその最初の関門なのだ。 実際セリフでもそれは裏付けされている。 ウイグルとの対決に苦戦するケンシロウに対し、物語のキーを握るトキ自身が、「ここで倒れるようなら、この先あいつを待ち受けている恐怖には、しょせん勝つことはできん」とたしなめている。

この北斗の拳という物語では、闘いの末みごとケンシロウが悪役をねじ伏せたとき、その怒りに相当する[肉体崩壊]という壮絶な報いを与えることが、大きな障害を突き崩した[あかし]となる。 この場合、ウイグルの巨体を潰すこと、すなわちカサンドラ伝説を打ち砕き、拳王の恐怖の支配をも握りつぶすという意味から、強力に握り潰される演出意図であったとうかがえる。 

しかしケンシロウに追いつめられたウイグルが秘孔を突かれ、いったんは墓穴に沈んだがその後息を吹き返し、事もあろうに立ち上がったのである。 北斗の拳のお決まりのパターンを覆してまで「トキ」の重要性を訴えているのは、並々ならぬものを感じる。 なお、役割を果たしたウイグルは、その直後きっちりと砕け散った。

 

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